Regensburg (1)

ドナウ川にかかる石橋
Samstag 4. Juli 1998
くもり 20度 / 夜:12度
朝起きると、ベルントはすでに仕事に行っていた。ディアナも仕事らしかったが、頭痛がひどいらしく、電話をして休むと断っていた。
「うち、何もないのよね。」とディアナが冷蔵庫を開ける。本当に何もない・・・。いつ開けたのかわからないジャムやチーズにしなびた野菜・・・。「確か、パンならあったと思う。」と戸棚を開けて出す。バターはどうにか使えそうだったので、バターをぬって食べる。「飲み物は?コーヒーなら、ちゃんとあるわよ。」と言うが、「私はコーヒーが飲めないの。」と言うと、ラルフが「そうなんだ。彼女は、うちでも紅茶しか飲んでないんだよ。」と言う。「あら、そうなの。紅茶、あったかなぁ? コーラは? コーラならこんなにたくさんあるんだけど。」と、キッチンの奥のケラーの扉を開けて、コーラのケースを見せてくれた。「あ・・・。私はコーラも飲めないの・・・。」と言うと、「まぁ! じゃぁ、紅茶を探してみるわ。」と探して、「あった、あった。」とティーバックを出してくれた。
それから、昨日見損ねたワールドカップのブラジル対デンマーク戦の再放送をEurosportで見た。
1時半頃、ディアナにさよならをして、私達はレーゲンスブルクに向かった。レーゲンスブルクのラルフの親友を訪ねるのだ。今日はそこに泊まる。
車に乗るとき、「前と後ろ、どっちに乗る?」と聞かれたので、遠慮して「後ろ。」と言ったのだが、これがよくなかった。後々、自分が「つい習慣的に遠慮してしまう日本人」だということを痛感することになるのだ。その後の二人のことに、日本人であるがゆえに口出しできないし、遠回しに文句を言うほどのドイツ語力がない。
車の中では、たまにラルフが私にドイツ語で話しかけるけど、ほとんどロサと二人でスペイン語で会話していた。
3時前にレーゲンスブルクに到着した。ラルフの親友のアンディ、奥さんのアリーナと握手して挨拶する。アリーナはルーマニア人なのだが、とてもきれいな女性だ。女の私から見ても、見とれてしまうほど美しい。ラルフが前に写真を見せてくれたときに「彼女は本当にきれいだよ。親友の奥さんになっちゃったけど。」と笑って言っていたのを思いだした。
ベルントの奥さんのディアナもルーマニア人だ。ラルフ一家は数年前までルーマニアに住んでいたのだ。アンディもドイツ人だが、同じくルーマニアに住んでいたそうだ。だから、ルーマニア時代からの親友らしい。
すでに、食事が用意してあった。ルーマニアのスープに、チキン、マッシュポテト、どれもすごくおいしい。食後に、チェリーパイも出てきた。これもおいしい。全部手作りだ。アリーナは美人で料理もうまくて、部屋もきれいに片づいていて、アンディは幸せ者だ。
そこに、「マミィ! お人形が〜。」と女の子が部屋に入ってきた。隣の部屋でお昼寝をしていた、アンディとアリーナの娘、アンドレアだ。4歳でピアスをしているのだが、二人の娘だけあって、とてもかわいい。
4時半から、日課であるワールドカップ観戦。アルゼンチン対オランダ戦だ。ワールドカップを見終わってから、みんなで7時頃から散歩に出かけた。私の格好を見て、「その格好じゃ寒いから、私の上着を貸してあげるわ」と上着を貸してくれた。
アンドレアは補助輪つきの自転車で、一人でどんどん先へ行く。ロサはラルフにべったりだ。アンディとアリーナが私の相手をしてくれる。アンディとアリーナはとても仲のいい夫婦なので、とてもうらやましい。だいぶ歩いているうちに、ロサとラルフ、アリーナとアンディ、という具合に、それぞれ二人ずつ距離が出来始めて、私の居場所がなくなってしまった。アンドレアが相変わらず無邪気に突っ走ったり、止まって遊んだりしているので、私がアンドレアの後をくっついて一緒に遊んでいた。
8時頃戻って、アンドレアがピーターパンのビデオを見る。アンディもアリーナもタバコを吸う。テラスで吸うので、「Yumiko、一服しようか。」と誘ってくれる。ラルフとロサから離れられるのがホッとする。
9時からはワールドカップだ。今回はドイツ対クロアチア戦。みんなでドイツを応援するが、0対3で負けてしまった。
今日は、アンドレアの部屋を借りて寝ることになっていた。アンドレアはアンディとアリーナの部屋で寝る。ラルフとロサは居間でマットレスで寝るのだ。
なぜ、私がラルフとロサ二人に対して不思議な思いを持っているのか、を書いておこう。ロサはラルフの彼女ではないのである。二人が恋人同士なら、二人がべったりしていても不思議ではないのでまったく構わない。しかしラルフには、ミュンヘンに別のメキシコ人の彼女”エリカ”がいるのだ。部屋に引き延ばした大きな写真も貼ってある。ロサが彼女の存在を知らない・・・というわけではない。ちゃんと知っているのだ。